Autodesk Inventorにはシートメタル(板金)機能があります。
操作の流れを紹介するため、 この機能を使ってパッケージ風の小箱を作ってみました。
形状をモデリングし、展開図に変換して紙を折って組み立てました。
作るモノ
ケント紙を使った、レトルトカレーのパッケージ風のミニチュア箱です。
シートメタル機能を使うと、完成状態で形状を作っておけば自動的に展開図に変換できるので便利で気に入っています。


作業環境
作業環境は下記の通りです。
- OS:Windows 10 64bit
- バージョン: Autodesk Inventor 2020
- 使った紙:ケント紙(板厚約0.2mm)
では、以下に手順を書きます。
作業の流れは5分ほどの動画にもまとめているので、よろしければご覧ください。
・まず、板金構造を事前に考えておく
曲げ要素が多い構造だと、作図しながら検討していると次第にワケワカメになる可能性があります。
そうするとモデリングの手戻りが発生し効率が悪いので、構造は事前に考えておいた方がスムーズです。
▼ 例えば、今回はこんな感じ。実際のカレーのパッケージを参考に、曲げのおさまりを事前にポンチ絵レベルで検討しておきました。

・板金形状をモデリングする
では、ポンチ絵の構造を3D化していきます。
新規作成画面からSheet Metal(mm).iptを選択します。

板金の基本情報を、入力しておく
板厚や曲げR、材料など板金の基本情報を、始めに入力しておきます。
シートメタルタブ内の「シートメタルの規定」をクリックします。
そして設定画面のスタイル(_mmを選択)右の鉛筆マークをクリックすると、詳細な設定画面が出ます。

今回は、厚さはケント紙の実測値0.2mm、曲げRは0にしておきました。

主要寸法はパラメータ化しておく
作図前に、主要寸法はパラメータ化しておくのがコツです。
例えば、高さ寸法にはheightという名前をつけておいて、それをスケッチ時に呼び出すという使い方です。

スケッチに直接数値を記載していると、後でサイズを可変させくなった際にけっこう面倒なんですよね。該当スケッチを探し→開いて修正という手間が必要になります。
かたやパラメータ化していると表の数値を修正するだけなので、楽が出来ます。
▼パラメータについては、以下の記事で説明しています。
代表断面があるなら、コンターフランジが便利
板金形状をモデリングするアプローチは複数あります。
「ソリッド形状をシェルで薄肉化してから、板金化する」のも一つですが、今回は「断面の線だけ書いて、板金化する」方法をとりました。

それには、「コンターフランジ」という機能を使います。
シートメタルタブの「コンターフランジ」をクリックし、対象となるスケッチを指定したり、必要な情報を入力します。

ヒレはフランジ機能で
代表形状が出来たら、あとは細かい曲げ(ヒレ)を作っていきます。
「フランジ」機能を使います。

この機能、便利なんですが曲げ位置のオフセットができません。
例えば、「このエッジから5mm上で曲げたい」というのが一度ではできません。
その場合は、「フランジ機能の曲げ角度0°」で5mmの延長面を作ってから、曲げを作成すると良いです。
▼ちなみに、ユーザーリクエストは出されているみたいですね。
・展開図に変換、DWGへ
展開図に変換
シートメタルタブ内の「フラットパターンに移動」をクリックすると、展開図に変換できます。

再び立体状態に戻る場合は、「曲げパーツに移動」を押せばOKです。

図面モードでビューを配置
展開図を印刷して利用する場合は、図面作成画面に入ります。
ビューを配置する際に、下図のように「フラットパターン」を選択すると展開図として配置できます。


▼ Inventorの図面作成機能を使う流れは、別の記事で説明しています。
DWGに書き出し
DWGファイルに書き出すこともできます。
ファイル→書き出し→DWGファイルにエクスポート を選択し、バージョンなど適宜指定すれば完了です。
印刷するだけなら、Inventor内で完結するのでこの工程は不要です。
今回は、他ソフトに渡す為にDWGに変換しました。(※色や絵を付けたいので)
・仕上げ
ここからはInventorから離れますが、仕上げの工程です。
絵付け
DWGにしたので2D CADなど他ソフトで編集が可能です。
今回はイラストレーターにDwgファイルを読み込んで、色やイラストを追加しました。

組立
あとは印刷し、チマチマと組み立てていきます。


動画
この記事の内容を、5分弱の動画にまとめました。
さいごに
シートメタル機能は、私の環境では試作や初期の検討段階で役立っています。
展開図機能を使うと、段ボールで仮の構造をさっと作れるのが便利です。
ただし詳細を作りこむ必要が無い場合など、 場合によってはシートメタルを使わずにソリッドをさっと薄肉化したほうが作図上速い事もあります。用途によって、使い分けてみて下さい。