液注計(マノメータ)の計算問題、圧力差の式の立て方の解説です。
機械設計技術者試験や技術士一次試験など、資格試験の流体力学の勉強向けに書きました。
時間がかかっても暗記なしで辻褄のあう式を立てられるようになるのが、この記事の目的です。
なおこの記事はあくまで補助なので、きちんと基礎から学ぶには、おすすめ書籍で勉強してみて下さいね。
まず基本のルール
液注計の式を立てる前に、基本のルールを2つだけ、押さえてください。
その1.絶対圧=大気圧+ゲージ圧
圧力と問われた際は、どの圧力なのか注意して下さい。
大気圧をゼロとしたゲージ圧なのか、大気圧とゲージ圧を足した絶対圧なのか。
その2.ロージーエイチ!
静止している流体においては、圧力はh(深さ)で決まります。
任意の深さHでの圧力。大事な公式です。
p=ρgH(ろーじーえいち)です。
とりあえず「この場合は、こう!」と覚えてください。
以上2つのルールを基本として、各種液注計の式を立てていきます。
1.U字管マノメータ
まず、問いと答えを先に貼ります。
私が勉強していた当時、初見でこの式をみても「え??なんで??」と合点がいきませんでした。
でも、丁寧に順を追って式を立てると、結果的に答えにたどり着くことができます。
式の立て方
注目するポイントに線を引き、仮想の断面を考えます。
この場合は、液が低くなっている箇所です。
「液が低くなっている=圧力が高いから押さえつけられている」という事になります。
- この例では、A-B断面と呼ぶことにします。
- A-B断面は、力が釣り合っている。そう考えてください。
- まずは、A側、B側の釣り合いの式を作ります。
これを変形して、P1を求める形にします。
絶対圧で、丁寧に要素を拾って式を立てていきます。
2.示差圧力計(U字)
まず、問いと答えを先に貼ります。
式の立て方
こちらも、1番目に紹介したU字管マノメータと考え方は同じです。
- 圧力の高いポイントに線を引き、仮想の断面を考える。
- 断面の圧力の釣り合いの式を立てて、変形していく
この流れで、答えが求まります。
3.示差圧力計(逆U字)
まず、問いと答えを先に貼ります。
式の立て方
こちらも、2番目に紹介した示差圧力計(U字)と考え方は同じです。
- 圧力の高いポイントに線を引き、仮想の断面を考える。
- 断面の圧力の釣り合いの式を立てて、変形していく
この流れで、答えが求まります。
但し、符号に注意して下さい。
向きが逆なので、マイナスになっています。
参考文献
- 坂田 光雄・坂本 雅彦(2002)『流体の力学』 コロナ社,p20
▼学習におすすめな書籍
↑圧力の式ρgH(ロージーエイチ)の導出から学べます。
微小要素で微分方程式を立てるところから、解説されています。
↑こちらは、初めて学ぶのにぴったりです。数式は少なめで、図表が多く解説が丁寧です。随所に例題が配置されているので、都度理解を確認しつつ、自然に学習が進みます。
さいごに
回りくどいようですが、この記事で書いた考え方で式を立てて変形すれば暗記が不要になります。