PR

【一例】構想設計の作業内容を紹介

機械設計

当ブログの「記事リクエスト箱」へ投稿を頂いたので、記事にしました。

スポンサーリンク

リクエスト内容

リクエスト箱へ、以下のようなリクエスト投稿を頂いたので、記事にしました。

構想設計。アイディアの出し方。具体化していく方法

前提

完全な正解を私の狭い経験から書くのは難しいので、この記事では私の進め方の例を紹介します。
一例として参考程度に読んで頂ければと思います。

きちんとした解説は、後述の関連書籍を読んでみて下さい。

この記事での定義

「構想設計」と言っても、設計手法や業界によってやる事が違うと思うので、この記事内で定義しておきます。
一言でかくと「構想設計= 企画の仕様を具体化して固める工程 」という事にします。

私はこんな感じの流れで進めています。小物や簡易ジグなど細かい短納期案件が主なので、メーカーでの商品開発について知りたい方は、関連書籍をご参照下さい。

  • Step 1
    構想設計

    仕様を具体化して固める

  • Step 2
    詳細設計

    手配できるレベルまで、構造を詰める

  • Step 3
    部材手配

    部品リストを作ったり、手配用の部品図を描く

  • Step 4
    組立・調整

というわけで、Step1の構想設計工程での具体的な作業内容を書いていきます。

・机上で目的を把握

この段階ではCADには触れません。使用環境、予算などを確認して企画の経緯、作る目的を把握します。

当方の環境では設計書を提示されるわけではなく、メールや口頭でフンワリした打診から始まるので、思い違いなど齟齬がでないよう確認をとり、気を付けています。

・ 完成図を共有

作る目的を把握して納得したら、 中身カラッポでもまずは完成図を描きます。
私はもっぱら、3DCADを使っています。

くどいかもしれませんが、イメージの認識違いを無くすためには有効だと思っています。

例えば、ざっと使いそうな市販品のサイズを盛り込んで外形サイズを仮決めした絵を提示すれば、

「大きすぎ!重すぎ!」とか何かフィードバックを頂けるはずです。

……となれば、特注品手配、内作の必要性など課題をいち早く把握することができます。

・ 採用する技術のアイデア出し

作るべきものが決まってきたら、どう実現するかを考えていきます。

例えば動くものであれば、どんなアクチュエーターを使うか、等。
細かい計算や寸法決めまではやりませんが、構想段階で現実的に検討しておかないと後で困ります。

できるだけ入手性、信頼性の高い市販品の採用をまずは検討します。
どうしても特殊なギミックが必要で内作する場合、すぐに機構が思い浮かばない事もあります。

そんな時は、市販品の構造を観察したり、事例集などで似た機構を調べて何とか検討を進めます。
ちなみに事例集は、ミスミのサイトが最強です。ドンピシャで合致せずとも、眺めているだけでイメージが膨らむので助かっています。

もう有名だとは思いますが、一応リンク貼っておきます。

・ 安全、組立 、保守、輸送性など検討

採用する機構などがある程度決まったら、更に具体化を進めていきます。
作るモノのたどる道を考えて、構造に落とし込んでいきます。

例えば、設置後移動する仕様だったら、大きさによっては分割構造が必要かもしれません。
いざ移動しようにも出口の幅を超えていてせっかく組み上げたものをバラすとか、最悪です。
(やらかしたことありますよ…… 😅 )

あとは うっかりでも法律に抵触するのが怖いですね。
例を挙げると 「社内で使うだけのちょっとしたブース」を作るつもりでも、構造によっては消防法上消防設備が必要になるかもしれません。早い段階で問い合わせたり申請したり、行動が必要です。

▼機械設計者に向けた法的問題についての本があります。すぐに出番はなくとも、読んでおくと頭に引出しができます。

・ ASSY構成考える

ここで、作るモノのアッセンブリ構成(ユニットの構成)を考えます。こうすると、更に仕様が具体化され固まっていきます。

「ここはよく交換するから一体ではなく別ユニットがいい」などフィードバックを得られるかもしれません。そうすると後工程の詳細設計がスムーズになります。

・文書を作る

これまでの検討が済んだら、あとは手配できるレベルまで詰める詳細設計工程に移ります。その前に設計書として文書にしてまとめています。

「試作品だしそんなんいらないよー」と言われても作っています。

私の場合簡易文書なので厳密な設計書と呼べるものかどうかはさておき、依頼主と話し合って合意したことはまとめておくと後々のトラブルを防げます。

▼設計書については、この書籍がわかりやすいです。正式な設計書だけでなく、本書で紹介されている「6W2H表」や「簡易設計書」の概念が普段使いとして役に立っています。

関連書籍

構想設計に関する書籍を紹介します。

▼ 構想から詳細設計段階の考え方が一冊にまとまっています。
具体事例が豊富で、アクチュエーターや材料の選定について実務的に解説されています。
発売当時メーカーに居たので、かじりついて読みました。職場ではこの本にあるほどキッチリと設計手順が運用されていなかったので、こうした本で勉強できるのは助かりました。

▼ 上記の本の新刊です。AI、IoT、3Dプリンタ等最近の技術を活用した手法が解説されています。目次構成は先に紹介した前の巻とは異なりますので、詳しい項目は出版社のサイトでチェックしてみて下さい。

▼ こちらは、 書名の通り構想設計についての本です。詳細よりも上流の観点で書かれています。商品開発、問題解決、安全、環境など配慮すべき事柄や手法を勉強できます。

タイトルとURLをコピーしました