零細でも個人事業主になってから仕事の負担が減ったように感じています。(暇だから、はさておき)
一人なので肉体的はしんどいですが、精神的には楽になりました。
なぜでしょう?
理由は、「一次情報にアクセスできるから」
ここで言う「一次情報」は、「発注元や後工程などから直接得る、生情報」を指しています。
会社のチーム内で仕事をしていたころと、一人の今と何が違うのか?
前者では、フラフラと転職の多い私はいつも下っ端新人ポジションです。
ベテランや先輩社員を差し置いて、なかなか自由に振舞うことができませんでした。
例えば、「こういう形状は加工できるのかな」と思ったとしたら。
今なら、協力業者さんに相談したり発注元に問い合わせたり、すぐに動けます。
これが私がいた職場では、できませんでした。
まず先輩を差し置いて加工部署に聞くわけにはいきません。
後でネチネチ説教されて面倒になります(笑)
かといって、先輩に聞いたところで明確な回答が返ってくるわけでもないんです。
抱え込みがちな人だと「聞いておくよ」と言われ、挙句放置されて仕事が進まない。
そんな感じでした。
現場に行きたくてもいけない空気があった
よく本や人に「設計者はちゃんと現場を見ろ」とか怒られたりします。
確かにその通りだと思います。というか、知りたいことがいっぱいです。
加工や現場を無視すると設計は全く進みません。
でも、「現場に話を聞きたいのに聞けない」という事が往々にしてあるのではないでしょうか。
その原因は設計部門内のドロドロとした上下関係による忖度の仕合であったり、そもそも他部署との横のつながりがなかったり。
私としては機械設計は好きですけど、あくまで業務は「生活のための仕事」です。
さっさと情報を得て仕事を進めて帰りたい。
それができないストレスは、足枷のようでした。
上述のお話は「私のいたブラック職場の場合」なので、きちんとスムーズに回っている所がほとんどだとは思います。
ただ、何社か職場が変わっても同じような経験をしました。
なので、あながち私だけのレアケースでもないと思います。
空気読まずに頑張って、「一次情報」にアクセス。自分で事情を蓄えよう
「じゃあ独立しない限りだめなのか!」と思われるかもしれません。
別にそんな事はありません。
一人でもなかなかうまくいかないこともあります。
多重請けみたいになっており、私に仕事が来る頃には伝言ゲーム状態で仕様がフワフワしていて、問合せ先すらわからんという事が起きます。
逆に社内なら他部門などへの問い合わせ先は請負に比べると明確でしょうから、(聞きづらい空気さえ無視すれば)情報は得やすいはずです。
こういう事は請負の場合、そう足繁く通えません。
- 例えば「現場で使う冶具」を依頼されたら、冶具を使う現場を見てヒアリングして写真を撮る。
- 加工が自社内なら、その設備を見たり現場の方に話を聴いたりする。(機械によっては加工サイズに上限や制約があるかも?)
実際私は、会社内で仕事をしていた頃に我慢の限界がきました。
それで空気を読まずに直接「一次情報」である発注元や後工程などに触れるようになってから、霧が晴れるように仕事がしやすくなったんです。
(設計部門内では気まずくなりましたが)
「それなりに年数が経ったから、経験で楽になっただけでは?」と思われるかもしれません。
確かに知識の蓄積も少しはあるでしょうけど、それ以上に環境が影響を与えていると確信しています。
それに環境が悪いと、知識や経験も蓄えられませんからね。
乱暴な言い方をすれば、先輩と新人の差なんて一定レベルまでは「事情を把握している度合い」です。
加工法などによって発注する外注依頼先や、過去の失敗と改善例なんていう「事情の宝庫」を共有せずに抱え込んでいる人に、新人がいきなり勝つのは労力も時間もかかります。
また聞きだけで一次情報を得られないのは、めちゃくちゃハードモードです。
抱え込んで出し惜しみされていたら、なおさら。
「そうは言っても初心者だから聞きづらい」「偉そうだと思われる」という気持ちも理解できます。
実際、私も「聞いたところで大した設計できんだろ」と無下にされたこともあります。
しかし初心者・新人こそ古株よりたくさん情報を集めて周辺工程の事情を把握しないと、仕事になりません。
色々制約はあるでしょうけど、空気なんか気にせずにそんな足枷はできる限り取り払いませんか。