片持ちばりのSFDとBMDの書き方を解説します。
基本的な3つのパターンに分けて書きました。
この記事の対象。勉強で、つまずいている人
この記事の目的は「資格試験問題を解くためだけの作業マニュアル」です。
- 勉強を始めたばかりだが、なかなか参考書だけでは理解がしづらい
なんていう方へ。
少しでもやる気を出して頂けるとっかかりになればいいな、と思います。
詳しい式の導出や理論は、書籍でじっくり勉強してみて下さい。
両端支持梁のSFDとBMDは別記事にて
両端支持梁のSFDとBMDの書き方は別記事を是非ご覧ください。
書き方を、やさしく説明しています。
さて、本題に入ります。
その1.集中荷重
片持ちばりの先端に、荷重がかかっています。
解答図
考え方
両端支持ばりと、考え方や約束ごとは一緒です。
区間ごとに仮想の断面で区切って、式を立てていきます。
SFDの場合・・
- まず、SFDの約束事を貼っておきます。
詳しくは、元記事をご覧ください。
支持元には、反力が発生している事を念頭におきつつ・・・・
自由端から区間を仮想の断面で区切って、せん断力の式を立てます。
x-x断面の左側は、集中荷重の5Nだけです。
計算の際は、符号に注意して下さい。
「仮想断面の左側かつ下向き」なので、「-5N」がA~B間のせん断力になります。
前述の約束事の通りです。
ちなみに、A~B間のどこで式を立てても同じです。
なので、グラフでは一定して-5Nになります。
BMDの場合・・
- まず、BMDの約束事を貼っておきます。
詳しくは、元記事をご覧ください。
始めに、自由端から区間を仮想の断面で区切ります。
そこに仮想の支点を設けます。
そして、断面の左右どちらかで、仮想支点まわりの力のモーメントの式を立てます。
x-x断面の左側に注目すると、こんな式が立ちます。
計算の際は、符号に注意して下さい。前述の約束事の通りです。
というわけで、BMDはxの一次式だという判断ができます。
その2.等分布荷重
片持ちばりの全体に、単位長さあたり0.1Nの等分布荷重がかかっています。
解答図
考え方
その1の片持ちばり集中荷重と、考え方や約束ごとは一緒です。
区間ごとに仮想の断面で区切って、片側で式を立てていきます。
SFDの場合・・
A-B間の任意の位置で、線を引きます。
図中のX-Xラインより左側に注目して下さい。
「A点からxの位置のせん断力の式」を立てます。
こうなります。
BMDの場合・・
A-B間の任意の位置で、線を引きます。
図中のX-Xラインより左側に注目して下さい。
等分布荷重なのでややこしく感じますが、大丈夫です。
「等分布区間の1/2の場所に、集中荷重がかかっている」と考えて下さい。
さてこの考え方で、「A点からxの位置を支点とした、力のモーメントの式」を立てます。
最終的な式はこうなります。
正負の判断に注意です。
この項目は、動画でも解説しています
その3.三角形状分布荷重
片持ちばりの全体に、三角形に分布した荷重がかかっています。
解答図
考え方
その2の等分布荷重と、考え方や約束ごとは一緒です。
区間ごとに仮想の断面で区切って、片側で式を立てていきます。
SFDの場合・・
A-B間の任意の位置で、線を引きます。
図中のX-Xラインより左側に注目して下さい。
「A点からxの位置のせん断力の式」を立てます。
今回は三角形の分布なので、せん断力の合計は三角形の面積になります。
- 面積はおなじみの「底辺×高さ×0.5」です。
高さは、三角形の相似を利用して求めます。
支持部の力の大きさ(1N)が分かっているので、関係式を立てるとこうなります。
というわけで、せん断力を求める式は最終的にこうなります。
BMDの場合・・
A-B間の任意の位置で、線を引きます。
図中のX-Xラインより左側に注目して下さい。
三角荷重なのでややこしく感じますが、大丈夫です。
「重心に、集中荷重がかかっている」と考えて下さい。
ちなみに、三角形の重心位置はこうなります。
さてこの考え方で、「A点からxの位置を支点とした、力のモーメントの式」を立てます。
最終的な式はこうなります。正負の判断に注意です。
(約束事をご覧下さい)
まとめ:約束事をまずは暗記
約束事をもう一度貼っておきます。
これに従えば、単純支持と同じく片持ち梁も解けます。
SFDの約束事
BMDの約束事
参考文献
- 中島正貴, 著: 材料力学, コロナ社, 2005, pp. 73-78.
- 日本機械学会, “JSMEテキストシリーズ 材料力学,” 日本機械学会, 2007, pp. 69-70.
この本は一見難しそうに見えますが、テキストを買いあさっては挫折を繰り返した私からすると、とても丁寧な方です。
初心者向け書籍を卒業して、一歩上のレベルに進みたいときに手に取りたい。そんな本。
数学が苦手で初っ端に手に取ると、とっつきにくいかもしれません。
初心者へおすすめ書籍
初心者(初学者)にオススメなのは、この書籍です。
私は一冊目に買ったのが上記のコロナ社でしたが、ついていけず。
この書籍で理解が追いつきました。
おすすめポイントは、微積分をなるべく使わずに解説されていること。
いきなり出てくると一瞬で読む気が無くなりますからね(笑)。
この書籍で理解したあとは、上記のコロナ社の書籍にもすんなり入り込めました。
反力を始め、梁の問題をたっぷり練習できる問題集もあります。建築向けですが、わかりやすいです。
動画も作りました
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▼ 片持ち梁の曲げモーメントとせん断力から応力を求めて、力の流れを描く記事です。
視覚化すると印象に残って面白い作業でした。
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