私は知識ゼロで仕事を始めたんですが、当初は不安だらけで毎日が試験前夜のようでした。
なんとか知識の無さを埋めようと、手さぐりで勉強して足掻いてきました。
その中で、初心者が取り組んで役立ったことは結局何だったのか?
私がスタート時に教えてもらいたかったことを書いてみました。
「道具」の使い方を覚えた
私は下請けの設計会社から上流のメーカーまで転々としてきました。
その中で一番役立ったスキルは、CAD操作です。
細かく言うと付随する製図知識含めて、ですが。
前いた会社では「CADは単なる道具」一本張りで、新機能で楽できそうな提案をしても「操作の暇があったら~」と逆に怒られる始末です。
掲示板とかネットで聞いても同じように偉そうに説教されますね。
当時はへこんだものです。
私の実感は全く逆で、まずは道具をキッチリと使えれば知識の差なんてどうにでもなります。
設計スキルが不足しているからこそ、私はこれを磨きました。
操作が早ければ、より早く確認を取れて軌道修正もできます。
簡単なものなら2D、複雑なものなら3Dでさっとポンチ絵を描いて、レビューしてもらったりしていました。
私の周囲にいた仕事ができると認められてる人って、
既存の機構をうまいこと流用したり、過去の失敗事例を把握していたり、取引先にすぐ聞けるような人間関係を構築して秘密にしていたり。
「機械工学に計算している」ではなく「事情通」でした。
そんなの、新参者が勝てるわけありません。古参が門外不出にしているならなおさら。
コントロールできないことに気を揉んでも仕方がないので、あなたにも会社の事情が蓄積するのを待つしかありません。
だけど、道具の習熟は自分次第です。
では、どうやって道具を練習するのか?
自分だけの訓練場をつくった
民間のスクールに通う事も検討しましたが、通う時間やお金がもったいない。
道具の習熟には、自分が思う存分トライ&エラーを繰り返す事が出来る訓練場を自宅に作るのが一番です。
私の場合は会社のCADがAutoCADだったので、自宅に同じ環境を用意しました。
AutoCAD LT98か2000だったと思います。昔は一括購入だったので勇気がいりました。
変わって最近はサブスクリプションといって、ソフトをレンタルして期間に応じてお金を支払う形です。2021年からはLTという名前は無くなり、AutoCAD か AutoCAD Plusの二種類になりました。
▼ AutoCADの入手方法などは、別記事にまとめています。
効果はてきめん。
会社にいると萎縮してしまって手が動かないんですが、家で練習して慣れると楽になりました。
「早くしろ馬鹿!」とか罵声あびずに済みますからね。
効率のよい操作方法の研究なんかもゆっくりできる。
「道具」は職種によってそれぞれ違うでしょうけど、技能系ならポリテクも助けになります。
私は旋盤とかフライス盤をポリテクに習いに行きました。(訓練時間が少ないのであくまで初歩ですが、手ずから工作機械に触れることで大きな実感が得られ、かなり勉強になりました)
自分が自分のコーチとなり、メニューを組む
初心者が陥りやすいのは、下積みで時間が経過してしまう事。
自分が何をしたいか?どうなりたいか?考えてみて下さい。
未経験者だと、そんなこと言うのは気が引けてしまうかもしれない。
「自分ごときが・・・」って。
でも自信がないからって小さくなっていては、いつまでも雑用しかできません。
いつまでも先輩のトレースや雑用担当をやっていたいですか?
どうやって短い期間で丁稚奉公を抜け出すか?
可能な限り作戦を練って、自分でコントロールすべきです。
上司が認めてくれるまで、ではなくて、自分で作戦を立てる。
私はバンバン逃げまくって環境を変えました。
(下積みを嫌う理由は、スキル云々もありますが雇用的に待遇が悪く損をすることが多いからです。)
雑用で身に付くレベルのスキルは、独学でも十分キャッチアップ可能です。
私は「妄想職務経歴書」を作っています。
現時点の職務経歴につなげて、未来の職務経歴も書くんです。
そうしたら「やばい、アシスタントで3年経過してるよ。次のフェーズにいかないと」
って焦りだします。
100%夢が叶ったわけではありませんが、下積み地獄からは抜け出すことが出来ました。
モチはモチ屋に。深入りをやめた
私はしばらくすると、気が楽になりました。「毎日が試験前夜」の緊張状態がなくなったんです。
設計スキルがあがったからではないです。
理由は深入りを止めたからです。
新人の私は、初心者の癖に周りに煽られて一度にすべての知識を欲していたんです。
設計ノウハウから材料から加工法から高精度の機械加工の技術まで。まあ無理ですよね。
1から10まで新規設計が必要な案件って、なかなかない。
過去の設計資料をみたり、市販品を組み込んだり、よさげなユニットがあればメーカの人に使用環境を相談したりします。
加工法にしても、本を読んで加工法の特徴を知識として浅く勉強しました。
工作機械の操作ができないことに恥じる必要なんてない。
設計上反映させるべきルールなんかは、設計段階で加工業者さんにヒアリングします。
机上で素人がウンウン考えるより早いし正確です。
今はこんな本が出ています。
「加工法は頻度の高いものを覚えて、あとは都度専門家にきけばよい」とあります。
勇気が出ませんか?
ちなみに、この本は「道具」としてもかなりおすすめです。
頻度の高い「板金・樹脂・切削」についてコストとからめて書かれています。
実践的で役に立つ本です。こういう本、もっと増えないかな。
ずっと会社にいても身に付くかは運だし時間がかかりすぎますからね。
モチはモチ屋に。丸投げとは違います。
あとは資格試験も「浅く広く」の勉強に役立ちました。
効率よく体系的に勉強ができるし、自信もつきます。
このブログでも、今後も資格の応援記事を書いていくつもりです。
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