ゼンマイのおもちゃの駆動部(歯車箱)を分解したので、仕組みをレポートします。
一見何の変哲もないゼンマイ仕掛けの車。
しかしじっくり観察すると少ないスペースに部品が効率よくレイアウトされ、とても興味深かったです。
こんなおもちゃを買いました
100円ショップで、ゼンマイ仕掛けの車を買いました。
なんとなく気になったので、中身を見てみることにしました。
動力源はゼンマイの巻き上げ
タイヤを後ろ向きにこすりつけると、ゼンマイが巻き上げられます。
手を離すとゼンマイが戻ろうとする力で、前に進みます。

駆動部のギアボックス外観
後輪のタイヤにギアボックス(駆動部の歯車箱)が取り付けてあります。

分解
小さな歯車がレイアウトされています。

ゼンマイは、ピンク色のギアに引っ掛けて巻き上げられます。

減速比(速度伝達比)は?
巻き上げ、走行時それぞれの減速比を計算してみました。
実物だと小さくて見づらいので、こんなCGを描いてみました。

巻き上げ時は、1.8
巻き上げ時の減速比は1.8。
回転数は(タイヤ側から見て)1/1.8になりますが、トルクは1.8倍になり、ゼンマイを巻き上げます。
ゼンマイの巻き上げにはそれなりに力が必要だからですね。

ちなみに、黄色で描いてる奥のギアは、巻き上げ時は仕事しません。
ケースに長穴が切ってあり、逃げられるようになっています。
走行時は、1/22
そしてゼンマイを巻き上げて手を離すと、車が走り出します。
このときの減速比は1/22。
トルクは弱くなり1/22になりますが、回転数はゼンマイ(側のギア)の22倍になります。

巻き上げ時に働いていたベージュのギアは、走行時は仕事しません。こちらも逃げられるようになっています。
例えばゼンマイ(側のギア)を半回転だけ巻き上げて手を離すと、 タイヤは11回転(=0.5×22)するというわけです。
動画版
動画も作ってみました。
1:26あたりに、動作アニメーションも載せています。
さいごに
シンプルなオモチャですが、一から自分で作ると大変です。
中身をじっくり見ると楽しくて勉強になりました。
参考文献
- 6.8歯車列. (2000). 著: 三田純義ほか, 機械設計法 (ページ: 145-147). コロナ社.
- Cheever, E. (n.d.). Mathematical Models of Translating Mechanical Systems. (Department of Engineering at Swarthmore College) 参照日: 2019年2月5日, 参照先: http://lpsa.swarthmore.edu/Systems/MechRotating/RotMechSysGears.html
- 小原歯車工業株式会社. (2007年9月1日). 歯車ABC 基礎編[PDF]. 参照日: 2019年2月4日, 参照先: https://www.khkgears.co.jp/gear_technology/guide_info.html