Adobe Dimensionというソフトを使ってみたので、感想をレポートします。
かなり簡単にリアルな3Dモックアップ画像を作れて、楽しいソフトです。
ボトルや缶などの3Dデータや金属、布などのマテリアルがあらかじめ用意されており、パッケージデザインの検討時に役立ちそうです。
もちろん、別ソフトで作った3Dデータも読み込めるので、手軽な質感、色付けツールとして便利に使えます。
Adobe Dimensionとは?
Adobe Dimensionは、商品パッケージや製品のリアルなモックアップ画像を簡単に作成出来るソフトです。
▼ 以下は公式サイトです。
入手方法
Adobe Dimensionは単体でも契約できますが、Adobe Creative Cloud コンプリートプランというAdobeのサブスクリプションサービス(支払った期間分だけ使用できる)に含まれています。
Creative Cloudには、PhotoshopやIllustrator、Premiere Pro、Indesignなどデザインに必要な主要ソフトが含まれているので、かなりお得なサービスです。
▼ Adobe Creative Cloud コンプリートプランはAmazonでもコードを購入できます。お急ぎでない方は定期的にチェックして、セール時を狙ってみて下さい。
できないこと
あくまで「手軽にリアルなモックアップCGを作るソフト」なので、BlenderのようなCGソフトとしてのフル機能はありません。
例えば、
- 3D形状のモデリング
- マテリアル、ノードの作成
- 流体などの物理演算
……といった機能は備わっていません。
できることが少ない分、迷わず手早く作業できるのが強みだと思います。
こんな画像が出来ました
試しに、こんな画像を作ってみました。クリックorタップで拡大できます。
▼ 缶ジュース風のCG。缶の3Dモデルは、ソフトに標準で入っているモデルを使ったので、モデリングの手間は一切ありませんでした。
▼ 3D CADで作った3Dモデル(.obj)をDimensionにインポートして、金属っぽい質感を与えました。
操作の流れ
では、実際の操作の流れを紹介します。缶ジュースのCGを例にします。
動画版
▼ 操作の様子を、動画にしました。※音声あり
Youtubeの概要欄には目次を設けているので、飛ばしながらご覧になれます。
まず新規作成
新規作成ボタンをクリックして、編集環境に入ります。
画面右下のプロパティパネルで、カンバスのサイズ(=画像サイズ)を指定します。いつでも編集できます。
テンプレの3Dモデルを配置する
次に、左側の「スターターアセット」と書かれたパネルに、標準の素材が色々と格納されているので、適宜選びます。今回は、「飲料缶」をクリックします。
すると、缶のモデルが原点に配置されました。
マテリアル、画像を設定する
缶に質感や柄の画像を与えていきます。
右上のシーンパネルに、「飲料缶」という名前の項目があります。項目名の左のフォルダアイコンをクリックすると、プルリングと缶という項目が展開されます。
▼ 缶の行の右側の右三角をクリックすると、下側にプロパティパネルが表示され、そこで属性を設定できます。
▼ 左側のスターターアセットパネルには、標準で色々な材料のマテリアルがあります。
任意のマテリアルをドラッグして、3Dモデル上にドロップすると適用されます。
今回は、マテリアルにプラスチックを適用してみました。現実の缶は金属ですが、CG上の光沢などの見た目はプラスチックの方がしっくりきた為です。
表面に画像を貼付する
▼ シーンパネル内の、さきほど設定した「プラスチック」をクリックして、下側のアクションパネルの四角いアイコン「グラフィックをモデルに配置」をクリックし、モデルに貼り付けたい画像を選びます。
▼ プロパティパネル内で、配置をデカールに設定し、位置はマウスでドラッグして調整します。
ちなみにデカールのほかに「塗りつぶし」という選択肢もあり、それを選ぶと全領域が画像で塗りつぶされます。
軽くUV編集もできる
Dimensionでは、uvをPhotoshopの.psdファイルとして出力できます。
シーンパネルで対象を選択した状態で、画面上部のメニューバーから、オブジェクト→uvを書き出しをクリックします。
▼ 出力されたuvをPhotoshopで開いた様子です。ガイドラインやグリッドも入っているので、デザインがしやすいです。
▼ Photoshopファイル(.psd)は、対象のマテリアルのベースカラーとして読み込めます。
▼ Dimensionでのuv編集については、公式のチュートリアルをご覧ください。
背景画像を指定する
背景画像は、予めソフトにいくつか画像が用意されています。
また、Adobe Stockというサービスで画像を購入したり、無料画像を利用することもできます。
今回は、Adobe Stockで検索して、無料画像を利用してみました。
パースと環境光の自動設定
背景を指定しましたが、モデルの見え方と写真の見え方があっていません。
また、光の具合も少し浮いて見えます。
そこで、Dimensionの機能を使うと、どちらも自動的に解決できます。
シーンパネルの「環境」を選択、アクションパネルの画像から環境を設定をクリックし、以下にチェックを入れます。
- ライトを作成
- カメラのパースを合わせる
すると、背景写真が環境光として使用され、照明も自動的にセットされます。
また、背景写真のパースが自動的に検出され、カメラと合うようになります。
▼ こんな感じで背景画像と缶のパースが違っていても……
▼ 実行の結果、背景写真と3Dモデルが自然に馴染んできました。
ライティング
ここで、レンダリングプレビューをカンバス上で実行して、最終的な見え方を確認してみます。
▼ カンバス上でレンダリング画像を見たければ、右上のボタンを押すか、.ピリオドキーを押すと表示されます。
少し暗く感じたので、別途ライトを追加してみます。
ライトは、左側のスターターアセットパネルの中の「指向性ライト」という項目から選択します。
ライトの強度などは、プロパティパネルで調整できます。
▼ ライト追加の前後の様子です。
調整
なんとなく缶1つだと寂しいので、複製してもう一つ配置したり、見え方を調整します。
テンプレートには水滴のついた缶も用意されているので、使うと面白い絵が作れます。
レンダリング
左上のレンダリングと書かれた箇所をクリックすると、最終レンダリングの設定画面になります。
2022/5/8現在では、選べる形式は.pngとPhotoshopの.psdの2種類です。
出力先のファイルの場所も指定できます。
開始ボタンを押すと、レンダリングが開始されます。
これで、完成です。
▼ この記事の動画版です。※音声あり
Youtubeの概要欄には目次を設けているので、飛ばしながらご覧になれます。
さいごに
一通り作業して感じたのは、とても直感的で使いやすいということです。各種パッケージや跳ねる水など、モックアップ画像にすぐに使える3Dモデルがテンプレとして入っていて、なんだかお絵描き感覚で楽しく操作できました。
ソフト起動時に表示されるチュートリアルをいくつか実行すれば、あとはすぐに慣れると思います。
普段はCG作成にBlenderを使っています。多機能、高機能な有名ソフトですが、今回のようなちょっとしたモックアップ画像を作りたい際には面倒に感じてしまう事があります。Dimensionは機能が少ない分、手早く操作できるのが良いです。
▼ Dimensionが含まれているAdobe Creative Cloud コンプリートプランは、Amazonでもライセンスコードを購入できます。お急ぎでない方は定期的にチェックして、セール時を狙ってみて下さい。