技能検定、機械製図の実技試験において、慣れておくと楽になる図面表現を3つ挙げます。
私の受験当時、これらを見慣れると課題図の読図に余裕が出来た気がします。
もちろん試験で使われる製図表現はこれだけではありませんが、ピックアップしてみました。
その1. とにかく断面図
まず一つ目は、断面図。とにかく、断面図です。
技能検定で出題される部品は数年の過去問を見る限りは鋳造+機械加工品。形が割と複雑なので限られた紙面で形状を表現すべく、断面図が多数出現します。
例えばこんな感じ
▼ こんな簡単なモノは試験ではでませんが、 適当な物体の断面図のサンプルを書いてみました。R等詳細は省略しています。
正面図の右半分を断面図にしています。
私はこれに当初苦手意識がありました。 試験でよくあるパターンの半分だけ断面図って、左右で見た目が違うので形状の把握に時間がかかってたんですよね。
試験では課題図、解答図共にハッチングをしないので、余計分かりづらく感じるのかもしれません。
同じような方は、とにかく過去問図を眺めて、見慣れておいてください。
3Dだとこんな形です
参考に、上の図面の3D図です。
その2. 断面図では切断しない要素(リブ、アーム等)の表現
次に、リブやアーム等、断面図では切断しない要素の表現です。
断面図で切断しない要素は、JIS B 0001:2019.機械製図.で説明されています。
以下に、引用します。
切断したために理解を妨げるもの(例1参照)又は切断しても意味がないもの (例2参照) は、長手方向に切断しない。
JIS B 0001:2019.機械製図.10.2.1 b)
例1 リブ(例えば、歯車の)、アーム、歯車の歯
例2 軸、ピン、ボルト、ナット、座金、小ねじ、リベット、キー、玉(鋼球、セラミック球など)、ころ
例えばこんな感じ
▼ 文章だけでは分かりづらいので、サンプル図面を書いてみました。
平ベルトを掛ける平プーリーです。形状は、JIS B 1852:1980.平プーリ.を参考にしました。
側面図は、正面図を縦半分に切断した全断面図です。
3Dだとこんな形です
▼ 3Dにするとこんな形です。「アーム」が、断面図で切断しない部分になります。
ここで、アレ??と思われる方がおられるかもしれません。
現実のモノを縦半分に切断したら、図面の断面図のような形にはならないハズですよね?
▼ こんな形になるはず。
▼ しかし、前述の「アームは切断しない」というルールを思い出してください。
ハブ(アームが無い部分)をカットすると、図面と同じ形状が見えてきます。これを断面図として描いています。
ちなみにその1.のサンプル図面でもリブは切断していません。「切断しない要素がある」ということを忘れていると、
断面がこんな形になるという事は、何か内部に突起や段差でもあるのか!??
……と混乱してしまうので注意して下さい。(私はド忘れして、小一時間考え込んでしまったことがあります)
その3. 段差、ザグリ
最後は、段差やザグリの表現です。
試験で焦るとなかなか形状が把握できず、苦労した記憶があります。
例えばこんな感じ
▼例として、適当な物体の図面を書いてみました。
試験時間に追われている際に見せられると、一体どんな形状なんだ??と焦るかもしれません。
しかし下面図と正面図を見れば、円形に空洞→下面から正方形の掘り込み→さらに長方形という事がわかると思います。
3Dだとこんな形です
参考に、上の図面の3D図です。
さいごに:過去問(解答図)の入手方法
読図に抵抗があるなら、とにかく解答図を眺めてトレースして慣れるのが一番です。
過去問(解答図)の入手方法は、以下の通りです。
公式サイトで閲覧
一年分だけなら、 中央職業能力開発協会の公式サイトで閲覧可能です。
課題図および、解答図も見られます(2020/1/3現在)。
一年分だけなので、こまめにチェックして下さい。※機械製図は、後期試験の中に入っています。
書籍で確認
三年分の学科と、一年分の実技の問題及び解答図が収録されています。解説は無いが、サクっと勉強するのには使いやすい。参考 出版社の詳細ページ
▼他には、地域の職能協会で入手できる可能性があります。別記事に掲載しています。
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