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熱機関?サイクル?まずは模型と見比べると現実感が湧くよ

解説記事

熱力学。模型を動かしつつ、ざっくりとサイクルについて説明します。
勉強の序盤からやる気が出ない人に、なんとなく眺めて頂ければうれしいです。

私自身、熱力学は勉強の取っ掛かりに苦労しました。
概念の理解が大変で、敷居が高く感じてなかなか身が入らず。

解決策は、とりあえず動くものを見る事でした。
模型を見ていたらなんだか興味がでて勉強する気が起きたんですよね。

そこでこの記事では、模型の動きと理論上のサイクルを見比べてみます。

実際に動くモノを見れば、なんとなくでも現実とリンクして、入り込みやすくなると思います。

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まずは、模型を動かしてみます

この模型はスターリングエンジンです。
ちなみに、スターリングエンジンには形式が4つ[1]あり、これはγ(ガンマ)形です。

※動画時間は30秒ほどです。

模型はネットで買いました。
低温度差で動くタイプなので、火を使わず安全に実験できます。(お湯は使いますので、火傷にはご注意を。)

ちょっと用語説明

ここで、言葉の説明です。

先ほどの動画は、スターリングエンジンの模型です。
スターリングエンジンは、熱機関の一種。

熱機関は、熱を仕事(動力)に変える装置で、この模型はスターリングサイクルを基本としています。
(1827年にR.Stirling氏が発明したので”スターリング”サイクル)

そしてここで言うサイクルとは、気体が状態変化して元に戻る過程を指します。(詳しくは次項目にて)

サイクルの内容は?

サイクルについて補足です。

例えば、スターリングサイクルの1サイクルは、下記4工程[3]で構成されます。

  1. 等容加熱
  2. 等温膨張
  3. 等容放熱
  4. 等温圧縮

ざくっというと、暖められて、膨らんで、冷えて、圧縮されて……を繰り返すという事です。

ちなみに、頭についている「等容」は、「体積が一定」という意味です。本によっては「定容」という表記もあります。
「等温」は「温度が一定」という意味です[2][4]

理想のスターリングサイクルのPV線図(横軸に体積、縦軸に圧力)に工程名を書き足しました。

模型と比べると?

模型と上述の理想のスターリングサイクルを比べてみます。

説明用に、模式図のアニメーションを作ってみました

各部の名称を紹介。
上下に配置してる熱湯と氷は、スターリングエンジンを動かすための熱源です。

動く部分を追ってみると?

動いてるアニメを眺めてもなんか目がすべってしまうので、パワーピストンとディスプレーサーの動きを記録して追ってみましょう。

すると、こんな風になりました。

大雑把ですが、ピストン達の動きに各工程を当てはめてみました。
メカで近似的に理想のサイクルを実現しているので、最初の方で説明した理想のサイクルと100%同一ではありません。

ただ、ディスプレーサーやピストンの変位を見ていると、空気が膨張したり冷えて圧縮するのが見えて、熱の働きに現実感がでますね。
サイクルが教科書の紙面だけではなく目の前で実現されてると思うと、なんか面白いです。

動画もあります

この記事の内容は、動画にもまとめてあります。
※動画時間は1分45秒です。

参考文献

  1. 2.2 スターリングエンジンの形式. (2009). 濱口和洋, 戸田富士夫, 平田宏一, 模型づくりで学ぶスターリングエンジン (pp.23-25). オーム社.
  2. 5 完全ガスの状態変化. (2001). 丸茂榮佑, 木本恭司, 機械系教科書シリーズ 工業熱力学 (pp.39-42). コロナ社.
  3. 7.7 スターリングサイクル. (2001). 丸茂榮佑, 木本恭司, 機械系教科書シリーズ 工業熱力学 (pp.103-106). コロナ社.
  4. 3.3 理想気体の状態変化. (1997). 小林恒和, わかりやすい機械教室 熱力学考え方解き方 (pp.49-54). 東京電機大学出版局.
  5. Wikipedia. Stirling engine – Wikipedia. 参照日: 2019年8月5日, 参照先: https://en.wikipedia.org/wiki/Stirling_engine
  6. 模型フリーピストンスターリングエンジン – Stirling Engine Dictionary. 参照日: 2019年8月5日, 参照先: https://www.nmri.go.jp/oldpages/eng/khirata/stirling/fpse_model/fpse_model.html

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