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【乙4】危険物取扱者試験で取り組んだ勉強法と参考書まとめ

危険物取扱者試験

先日、危険物取扱者試験の乙種第4類、いわゆる乙4に合格しました。
化学の学力がほとんど無い状態から取り組んで、効果があった勉強方法や参考書を紹介します。

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危険物取扱者試験とは?

危険物を大量に貯蔵または取り扱う施設において、消防法により必要になる国家資格です。
資格は甲種、乙種、丙種に分類されていて、取り扱える危険物がそれぞれに定められています。
今回私が取得したのは、乙種4類。ガソリン、灯油、軽油などの引火性液体が取扱可能で、一番受験者が多い区分です。

▼ 受験案内です。資格取得までの流れ、試験の方法などが記載されています。

試験の方法|危険物取扱者試験 |一般財団法人消防試験研究センター
国家資格である危険物取扱者試験と消防設備士試験の実施機関です。

▼ 申し込みから受験、交付までの流れが記載されています。

はじめて受験される方へ|一般財団法人消防試験研究センター
国家資格である危険物取扱者試験と消防設備士試験の実施機関です。

勉強開始時の状態

私の乙4の勉強開始時の状態は、以下の通りでした。

  • 高校化学は、教科書で体系的に勉強したことが無い
  • 機械工学系の科目(熱力学、工業材料)の勉強時に、化学とかぶる項目だけを勉強したことはある(公式を使っただけ)

……という感じで、化学の基礎学力はほぼ期待できない状態です。今回の資格の勉強を利用してちょっとでも化学を学ぶきっかけになれば、という目論見がありました。

モルって何だっけ……😱

進め方

受験対策は、以下のように進めました。

  1. 高校の「化学基礎」という科目を、高校の参考書で勉強する
  2. 乙4のテキストで出題範囲について学ぶ
    • 高校の学参を併読しながら
    • 法令はANKIでとにかく暗記
  3. 過去問題を解く

事前知識として化学の基礎を学んでから、乙4のテキストで出題範囲について学習し、問題集で定着させる……という段取りです。

既に化学に心得のある方は、3.の過去問題集からでも良いと思います。
私が使った問題集は、分野別の解説も収録されているので、お勧めです。

勉強のスケジュール

▼ 下図は、スケジュールの例です。(私はこれで進めました)

危険物取扱者試験乙4の対策スケジュールの例
  • 薄い灰色部分は、分からない部分が出たときだけ本を開く……という使い方です。
  • 基本的に、メインの勉強(青い部分)は並行しないほうが、負担が少ないと思います。
    どうしても時間が無い場合は、事前の勉強の工程は思い切って省き、過去問題集一本に絞るほうが良いです。
  • 一ヶ月も半ばになると、勉強のリズムが出て慣れてきます。そのころから暗記作業に着手しました。

勉強しながら段取りを考えるのは疲れます。勉強開始前の気分が良い時にガッチリとスケジュールを組んで、あとは粛々とそれに従うようにすると、楽でしたヨ。

おすすめ本

私が試験対策で使った本を紹介します。

1. 高校の参考書

▲ 高校の「化学基礎」という科目の参考書です。「化学基礎」は中学校理科を基に基礎を学ぶ科目なので、乙4の勉強開始前の予習として、ぴったりです。
コミカルな語り口で初歩から優しく教えてくれるので、初めてでも負担が少なくて助かりました。
分厚い本ではなく(15mm程度)、5章構成なので、取り組んだらさっと終わると思います。
例題をつまみ食いでいくつか解きながら読んでいくと、段々と化学の問題の解き方に慣れてきました。

私は化学は周期表をちゃんと見たことすら無いレベルでしたが、この本で一通り勉強した後は、「なんとかやれそうだ」と興味と元気がわいてきました。

余裕があれば 随時参照

▲ この本は、高校化学の「理論化学」分野の参考書です。
過去問を見ていると、「化学基礎」の学参では出てこなかった計算問題が出題されていたので、購入。

例えば、ヘスの法則をつかって未知のエンタルピーを求める問題。初見では全然分かりませんでしたが、本書の「Chapter 9 化学反応と熱」で学習後は普通に解けるようになりました。計算としては連立方程式や四則演算が主なので、数学的に苦労することはそんなに無くてほっとしました。

丁寧で段階を踏んだ解説、随所のかわいいイラストで全く抵抗感がありませんでした。
また、巻末には別冊の問題集が付いているので、学んだことをさっと演習して確認できます。

▲ この本は、高校化学の「有機化学」分野の参考書です。先に紹介した理論化学編のシリーズです。
乙4のテキストで有機化学の単元を読んでいると、官能基や構造式が出てきていきなり化学化学しだすので 「なんかわからん…」と弱気になっていました。そんなときに、副読本として本書を購入しました。

混乱していた炭化水素の分類、名称や構造について丁寧に解説されています。
図表やかわいいイラストが豊富で、スムーズに読み進められて助かりました。

Chapter1~3をさっと読むだけでも、乙4の勉強の抵抗が減ると思います。
(全章を読むのは、時間が限られた資格試験の勉強としては過負荷になってしまい時間的に厳しいので)

2. 乙4のテキスト

▲ 危険物取扱者試験、乙種四類のテキストです。
1単元2~4ページで構成されているので、サクサク読み進められました。
一日2単元ずつ学習し、1ヶ月ほどで取り急ぎ全範囲の学習が終了する日程だと、負担が少ないと思います。(高校学参などの副読本を読む余裕が生まれます)

単元の終わりには簡単なチェック問題が掲載されているので、どの程度自分が理解できているかを確認できます。解けなかったら都度本文を見返せば、ある程度頭に定着してきます。

また、巻末に予想問題が2回分収録されています。
テキスト一周後に解いてみたら、3科目全てで、なんとか60%は取れました。合格点としてはギリギリなのでもっと正答率を挙げる必要はありますが、「初学者でも短期間で合格点が見えてきた」ので、導入テキストとしては、かなり頼れます。

更に知識の定着を図り正答率を高めるためには、本書はさっと終わらせて、3.の問題集に移りましょう。実践形式で演習が出来ます。

3. 過去問題集

2.のユーキャンのテキストを一通りこなした直後は、「なんとなく分かった気がするけど、試験で通用するのだろうか……?」という不安な状態でした。
そこで、この過去問題集です。テキストの通読で「覚えたつもり」になっていたことを、問題として解いて定着させることができました。
分野別に計535の過去問が収録されているので、気が済むまで演習できます。

また、問題だけではなく各分野の冒頭に解説も収録されています。
この解説がかなり有用で、2.のユーキャンのテキストではさっと流した項目を補強できます。
例えば、第二章の「消火と消火剤」は、6ページに渡って消火剤の種類とその特徴が記載されていて、とても勉強になりました。

既に化学に心得がある方は、この本一冊だけでも合格レベルに達すると思います。

法令問題は、ANKIで覚え込む

試験では「危険物に関する法令」という科目が15問出題され、60%以上の正答が必要です。

この法令科目は、本を読んでいるだけでは頭に定着せず焦りました。
必要な距離や量(10m、20m、30kLなど…)をすぐ忘れてしまうんです。化学の勉強よりも辛いと感じる事すらありました。

そこで、ANKIというソフトで頭に覚え込ませました。

ANKIは、フラッシュカード(単語帳的なもの)を作るソフトです。
作ったカードは、正答率や回答した間隔によって優先順位が設定され、出題の順番が調整されます。
なかなか覚えられない項目も、カードとして繰り返し表示されると段々と頭に残るようになりました。

▼ 画面は、こんな感じです。

Windows版のANKIで、勉強している様子
Windows版のANKIで、問題を表示している
  • カードは、テキストで暗記項目が出る度に作ると良いです。
    ※ 溜まってくると、カードの作成が面倒になるので
  • 自然に覚えておく自信が無かったり、過去問で間違えたりした事柄を登録して下さい。
    するとテキストを読み終わる頃には、自分だけの「暗記帳」が出来上がっています。

▼ Ankiの公式サイトです。Win/Mac/Androidは無料で、iphone版は有料です。
カードの登録作業を考えると、PCにインストールすると使いやすいと思います。(私はWindows版を使用)

Anki - powerful, intelligent flashcards

合格後の感想

私は普段、機械設計や製図業務に従事しています。今すぐ危険物の取扱業務に関わる機会はありませんが、今回の勉強は設計者の素養として有益だと思いました。
機械の設置環境は様々なので、周辺の法令を知っておくに越したことはありません。

また、機械工学の本を読む際の解像度が上がった気がします。
例えば、金属の腐食でイオン化傾向の話が出てきたら今まではさらっと読み流していましたが、今は興味を持って内容を追えるようになりました。
時間の制約上、学力としては高校化学をほんの少しかじっただけですが、良い変化を感じています。

そして、試験対策は勉強のよきペースメーカーでした。試験という目的が無ければ、優先順位が下がったまま、2ヶ月では何もできなかったと思います。
業務で必要な方はもちろんのこと、「即必須ではないが、勉強のきっかけが欲しい」という方も、挑戦してみてはいかがでしょうか?


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