浮力の基本的な計算問題は、要点を押さえれば、簡単に解けます。
そこで、計算に最低限必要な式を整理しながら、ポイントを解説してみます。
初めて勉強する人や、参考書で詰まってしまった人に向けて書きました。
後半には、無料のシミュレーター教材を使って解説を進めます。
公式を試して、サクっと実感を得られますよ。
ちなみに、技術士一次試験でさらっと出題されたことがあります。
概念として分かっているつもりでも、突然問題として出題されると焦ります。
しかしツボを押さえておけば、容易に解けて貴重な得点源になります。
浮力とは?
まずは、浮力のあらましを書きます。
浮力は、アルキメデスの原理で説明される力です。
アルキメデスの原理の定義は、デジタル大辞泉(小学館)が簡潔で分かりやすいので以下に引用します。
流体の中で静止している物体は、それが押しのけた流体の重さだけ軽くなる、すなわち浮力を受けるという原理。
「アルキメデスの原理」『goo国語辞書(出典:デジタル大辞泉, 小学館)』、https://dictionary.goo.ne.jp/jn/7703/meaning/m0u/(閲覧日:2018年7月8日)
「押しのけた流体の重さだけ軽くなる」ということは、物体の重さに逆らって、物体の重さをサポートする力が発生しているということ。
それが、「浮力」になります。
図にするとこんな感じ。

この「浮力」は、計算で求められます。
以下に順次、説明していきます。
予備知識
浮力の計算の前に、計算に使う単位や量を整理しておきます。
「物体の重さを出す式」に浮力の計算で使う単位が詰め込まれています。
重さ、質量、体積、密度、比重がゴッチャに混ざらないように注意して下さい。

例えば、「アルミの比重:2.7」と書かれていたら。
質量は、1000kg/m^3×2.7=2700kg/m^3、ということになります。
浮力の計算
まず公式
浮力とは、前述のように 「物体が押しのけた流体の重さ分の力」です。
重さですから、前項の公式を使い、密度と体積を掛ければ、求まります。
こんな感じです。

沈むかどうかは密度で決まる
物体が流体に浮くかどうかは、密度の大小で決まります。
身近なもので当てはめれば実感が湧くと思います。
例えば、
- アルミのブロック(密度:2700kg/m^3)は、水(密度:約1000kg/m^3)に入れると沈みます。
- 逆に、氷(密度:917kg/m^3)は水(密度:約1000kg/m^3)に浮かびます。

排除した or 押しのけた流体ってどこのこと?
さて、「物体が押しのけた流体の重さ分の力」って言い回し、何かややこしくないですか?
本によっては、「物体が排除した流体の重さ」という様な表現の場合もあります。
いずれにせよ、何故かこの表現がわかりにくくて、理解に時間がかかりました。
排除?なにが?みたいな。(私だけかもしれませんが )
なので、同じような方に向けて、くどいくらい書いておきます。
このGIFアニメを見て下さい。
四角い物体が水槽に入ってきたせいで、流体(水)が元々いた場所から立ち退かされ、その分水位が増えました。

この水位が増えた部分が、「排除された流体」になります。
そして、「水位が増えた分の流体の重さ」が、「浮力」です。

つりあいを考える
ここで、つりあいを考えます。
「物体の地上での重さ」との関係性はどうなっているのでしょうか?
こんな感じでざくっと整理して覚えて下さい。

氷が沈む部分は何%?
ちょっと例題を設けてみました。
「水に氷を浮かべたら、氷の体積の何%が沈む?」

実際に問題を解くと、慣れてきますね。
シミュレーターで確かめられます
オンラインの無料教材で、浮力について学べます。
シミュレーターなので、密度や条件を変えて、確かめることができます。

長くなるので、別の記事に紹介しました。ぜひ試してみて下さい。
参考文献
- 国立天文台編(2017) 『理科年表 平成30年 』 丸善出版, p390-391.
- 日本機械学会(2006) 『機械工学便覧 基礎編 α4 流体力学 』 丸善出版, p11-12
おすすめ参考書
浮力に関しては、丁寧に導出から解説されています。
数式多め。
難しく感じる方は、下記の書籍もおすすめです。
流体力学は、私はこの本から初めました。とても丁寧で、わかりやすいです。
細かい導出は省かれていて、その分文章や図で概念を理解できるように配慮されています。